【無料】第27回キャリアコンサルタント試験の過去問:徹底解説付き

問1　高年齢者の雇用状況に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

65歳以上定年企業（定年制の廃止企業を含む）は全体の6割を超えている。

70歳までの就業確保措置を実施済みと報告した企業の割合を従業員数の規模別でみると、300人以上の大企業のほうが、300人未満の中小企業よりも高い。

継続雇用制度の導入を行うことで雇用確保措置を講じている企業では、「希望者全員を対象とする継続雇用制度」よりも、「経過措置に基づく基準対象者とする継続雇用制度」を導入している企業の割合のほうが高い。

調査対象の企業における60歳以上の常用労働者数は、平成26年以降、一貫して増加している。

問2　第11 回 21 世紀成年者縦断調査（平成 24 年成年者）の概況」（厚生労働省、2023年）で述べられた、出生の状況や出産前後の就業状況の変化に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

（注：当該調査は、平成 24 年 10 月末に 20～29 歳であった全国の男女（及びその配偶者）に対して、その後 10 年間にわたって、結婚の状況、出生の状況、就業の実態及び意識の経年変化の状況などを継続的に調査したもの。）
【第11回21世紀成年者縦断調査（平成24年成年者）の概況】

子どもが 1 人以上いる夫婦では、夫の休日の家事・育児時間が長くなるほど、その後、第 2 子以降が生まれている割合が高くなる傾向がある。

独身者に対して子ども観を尋ねたところ、「仕事に張り合いが生まれる」等の積極的な子ども観を持つ者の割合は、10 年前に実施された前回調査（平成 14 年に 20 歳から 29 歳であった者を対象とした平成 14 年成年者調査）よりも高い傾向にある。

独身者に対して子ども観を尋ねたところ、「仕事が十分にできなくなる」という消極的な子ども観を持つ女性の比率は男性とほぼ同等である。

調査期間 10 年の間に子どもが生まれた夫婦の妻（出産前に仕事あり）について、出産後の就業状況を見ると、正規・非正規ともに「離職」の割合は、前回調査（平成 14 年成年者調査）と比べ高くなっている。

問3　「令和5年度能力開発基本調査調査結果の概要（企業調査）」（厚生労働省）で示された、キャリアコンサルティングを行った効果に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

【令和5年度能力開発基本調査】

正社員については「自己啓発する労働者が増えた」という回答が最も多かった。

正社員については「新入社員・若年労働者の定着率が向上した」という回答が、「その他」「不明」を除いて最も低かった。

正社員以外については「労働者の仕事への意欲が高まった」という回答が最も多かった。

正社員以外については「人事管理制度に労働者の希望等を的確に反映して運用できるようになった」という回答が最も少なかった

問4　サビカス（Savickas, M. L.）が提唱したキャリア構築理論における「ライフテーマ」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

【個と組織を生かすキャリア発達の心理学】

ライフテーマとは、変化の激しい環境において、自らを克服して適応していく過程のことである。

ライフテーマとは、自分自身に関する意思や行動に関する自己語りそのもののことである。

ライフテーマは、それまでのキャリア・トランジションにおける気持ちや決断のきっかけ、拠り所などが語られる中で明確になる。

ライフテーマは、変化するグローバルな文脈の中で、すべき仕事を見つけることで明確になる。

問5　スーパー（Super, D. E.）のキャリア発達理論の基本的な考え方に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

【キャリアコンサルティング理論と実際 6訂版】

個人の行動は、その人のパーソナリティと環境の特徴との相互作用によって決定される。

個人は多様な可能性を持っており、さまざまな職業に向かうことができる。

人々が意味あるキャリア・ナラティブを構築し、実行するのを支援することが重要である。

目まぐるしく環境が変化する時代には、いかなる環境にあっても新しい状況に合わせて適応し、キャリアを作り上げていく能力が重要となる。

問6　クランボルツ（Krumboltz, J. D.）のキャリア理論に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

【職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査（独立行政法人労働政策研究・研修機構）】

キャリア発達を自己決定理論の立場から「職業選択行動は、学習の結果であって過去に起こった出来事と将来起きるかもしれない出来事を結びつけて解釈した結果である」と捉えた。

キャリア形成が偶然の出来事に大きく影響される事実に着目し、偶然の出来事を積極的に取り込み、好機として活かす自己効力感理論を提唱した。

偶然の出来事を好機として活かすために、外向性、誠実性、開放性、協調性、神経症的傾向の 5 つを示した。

幸せで成功した人は、計画に費やす時間を減らし、行動に費やす時間を増やしている事実を踏まえ、「とにかく行動を起こし、早く多く失敗して学ぶ」ことを重視している。

問7　キャリアの理論に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

【新版キャリアの心理学【第2版】―キャリア支援への発達的アプローチ―】

パーソンズ（Parsons, F.）は、個人の行動傾向を相互に関連する 6 タイプのモデルとして類型化し、VPI などの進路支援ツールの開発につなげた。

シャイン（Schein, E. H.）は、キャリア・アンカーを予測し、該当する職業と結び付けることで、仕事経験がない学生の進路支援に有効活用できると述べている。

シュロスバーグ（Schlossberg, N. K.）は、カウンセリング・プロセスを通じて、「状況（Situation）」、「自己（Self）」、「周囲の援助（Support）」、「戦略（Strategies）」の内容を明確にし、転機への対処を支援するシステムを提唱した。

クランボルツ（Krumboltz, J. D.）は「連続的意思決定プロセス」を提唱し、キャリアにおける意思決定を進行させるためのガイダンスの枠組みを示した。

問8　スーパー（Super, D. E.）の理論に関する次の記述のうち、適切なものの組み合わせはどれか。

A. 生涯を通じた一連のライフ・ステージをマキシサイクルと呼び、開始、探索、確立、
適応、維持、解放（衰退、下降）という 6 つの段階で構成されるとした。
B. 人が生涯に果たす各役割の重要性は、情意的側面、行動的側面、認知的側面の 3 要
素によって多重的に決定されると考えた。
C. 成人期を四季に例えた「ライフサイクル」に焦点を当て、児童期と青年期、成人前
期、中年期、老年期の 4 つの発達期を経て発達が徐々に進むと考えた。
D. 個人と職業との関係のダイナミズムに着目し、職業選択を援助する手段として、能
力とパーソナリティから構成される「職業的適合性（vocational fitness）」とい
う概念を示した

A と B

A と C

B と D

C と D

問9　ホール（Hall, D. T.）が提唱するプロティアン・キャリアの特徴に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

「地位、給料」よりも、「心理的成功」を重視する。

「私は何をすべきか（組織における気づき）」よりも、「自分は何がしたいか（自己への気づき）」を重視する。

「市場価値」よりも、「組織で生き残ることができるか」を重視する。

「この組織から自分は尊敬されているか（他者からの尊敬）」よりも、「自分を尊敬できるか（自尊心）」を重視する。

問10　シャイン（Schein, E. H.）が提唱する3つのサイクルの相互作用モデルに関する次の記述のうち、サイクルとして不適切なものはどれか。

アイデンティティ・サイクル

仕事・キャリアサイクル

家族関係サイクル（新家族

生物学的・社会的サイクル

問11　カウンセリングの理論や心理療法の名称、その提唱者に関する次の記述のうち、組み合わせとして適切なものはどれか。

ウォルピ（Wolpe, J）、内観療法

ジェンドリン（Gendlin, E. T.）、フォーカシング

バーン（Berne, E.）、系統的脱感作法

森田正馬、交流分析

問12　次の記述のうち、行動療法における「モデリング」の説明として、最も適切なものはどれか。

快出現による強化に、「一定数を集めれば比例して好きなモノ・権利と交換できるもの（代理紙幣）」を用いる手法である。

減らしたい行動の生起に対応し、すでに与えられている「楽しみ活動への参加」、「快刺激の提供」を、望ましくない行動の出現に比例して減ずるシステムである。

回避症状を維持するような刺激や状況がもたらす緊張・恐怖を喚起し、あらかじめ習得させていた心身の緊張を沈静化させるためのリラクセーション反応などを利用して、その緊張や恐怖を中和する方法である。

ある行動を遂行した結果を観察するだけで、観察する側の同じ行動の生起しやすさがより高まることをねらった学習のことである。

問13　求職者支援制度の対象者の要件に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

【求職者支援制度のご案内】

求職者支援制度とは、雇用保険を受給できない者が、職業訓練によるスキルアップを通じて早期就職を実現するために、国が支援する制度である。

求職者支援制度における職業訓練受講給付金の対象者の要件の一つは、雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないことである。

一定要件を満たせば、訓練修了後に一括して職業訓練受講給付金が支給される。

訓練期間中も訓練修了後も、ハローワークが積極的に就職支援を行う。

問14　「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」（厚生労働省、令和4年）で示された、労働者の自律的・主体的な学び・学び直しを促進するために経営側が行う支援に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

【職場における学び・学び直し促進ガイドライン】

労働者が学ぶ内容を自ら選択する「自己啓発」のうち、仕事や業務に資するものについては、時間的配慮を行うことが望ましい。

業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて社内外で実施する教育訓練（Off-JT）として学び・学び直しを行う場合に要する費用は、基本的に企業の負担となる。

学び・学び直しのサポートという役割を担うキャリアコンサルタントをはじめとした支援人材の活用を検討することが望ましい。

学び・学び直しによって身につけた能力・スキルの評価を行い、それが組織の方向性と違う場合は、企業が学ぶ内容を指導する。

問15　人材育成に取り組む事業主等に対する支援に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

【キャリアアップ助成金】【キャリア形成支援】【生産性向上人材育成支援センター】

キャリアアップ助成金は、正規雇用労働者の処遇改善の取組みを実施した事業主に対して助成する制度である。

セルフ・キャリアドックは、企業にとって人材育成上の課題や従業員のキャリアに対する意識の把握、生産性向上につながるといった効果が期待される。

生産性向上人材育成支援センターでは、企業の人材育成に関する相談支援や課題に合わせた人材育成プランの提案を行っている。

生産性向上人材育成支援センターでは、ものづくり分野の在職者訓練や企業のニーズに応じてカリキュラムをカスタマイズした生産性向上支援訓練を実施してる。

問16　「第11次業能力開発基本計画」（厚生労働省、令和3年4月）に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

【第11次職業能力開発基本計画】

企業における人材育成を支援するとともに、労働者の主体的なキャリア形成を支援する人材育成戦略として位置づけられている。

中長期的な日本型雇用慣行の維持や企業主導のキャリア形成の拡大を視野に、企業内の技能継承の促進、企業内の人材育成に向けた教育訓練給付等の普及を目指す。

労働市場のインフラ強化として、技能検定等の職業能力評価制度や職業情報提供サイト（日本版 O-NET）の活用推進が挙げられている。

全員参加型社会の実現に向けて、地域若者サポートステーションにおいてニート等の若者の職業的自立の支援の強化があげられている。

問17　教育訓練給付制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

【教育訓練給付制度（厚生労働省）】

2024 年 2 月 1 日以降から、教育訓練給付の「支給申請」と「受給資格確認」は電子申請等が可能となっている。

特定一般教育訓練は、労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象となる。

一般教育訓練では、受講費用の 40%（上限 20 万円）が訓練修了後に支給される。

専門実践教育訓練は、労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象となる。

問18　労働基準法41条の2で定める、いわゆる高度プロフェッショナル制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

【高度プロフェッショナル制度わかりやすい解説】

導入にあたっては、対象業務、対象労働者などについて、労使で設置した委員会の過半数以上の多数で決議しなければならない。

適用される業務は、労働基準法施行規則（厚生労働省令）で限定されており、それ以外の業務に従事する者には適用することができない。

対象者は、年収が労働者の平均給与額の 2 倍を相当程度上回る水準（1000 万円）以上の労働者が対象となる。

導入にあたっては、適用対象者の等級や勤務年数、年収などの必要要件を満たしていれば、対象者本人の同意を必要としない。

問19　ハーシーとブランチャード（Hersey, P. & Blanchard, K. H.）の提唱したSL（Situational Leadership）理論に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

SL 理論では、能力もやる気もある部下には、こちらの考えを説明し、疑問に応える説得的なリーダーシップ・スタイルが効果的である。

SL 理論では、能力もやる気もない部下には、仕事の遂行責任を委ねる委任的なリーダーシップ・スタイルが効果的である。

SL 理論では、やる気があるが能力が低い部下には、本人の意向にかかわらず、事細かに監督する教示的なリーダーシップ・スタイルが効果的である。

SL 理論では、能力は高いがやる気がやや低い部下には、考えを合わせて決められるよう仕向ける参加的なリーダーシップ・スタイルが効果的である。

問20　「令和 5 年版労働経済の分析」（厚生労働省）で述べられた、雇用・失業情勢の動向に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

【令和5年版労働経済の分析】

ここ 10 年ほどにわたり、女性の 15 歳以上人口に占める正規雇用労働者の割合は、「25 ～34 歳」、「35～44 歳」で顕著に上昇している。

ここ 10 年ほどにわたり、非正規雇用労働者に占める不本意非正規雇用労働者の割合は、上昇傾向で推移している。

2000 年代前半から 2019 年までは雇用障害者数は増加傾向にあったが、2020 年に減少傾向に転じた。

2000 年代後半から 2019 年までは外国人労働者数は増加傾向にあったが、2020 年以降は一貫して減少傾向が続いている。

問21　労働についての政府統計に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

【労働力調査】【一般職業紹介状況】【賃金構造基本統計調査】【毎月勤労統計調査】

毎月の完全失業率の推移をみるためには、労働力調査を調べるとよい。

毎月の有効求人倍率の推移をみるためには、一般職業紹介状況を調べるとよい。

年齢や勤続年数、職種別の賃金をみるためには、賃金構造基本統計調査を調べるとよい。

産業別の所定外労働時間を含む総実労働時間をみるためには、就労条件総合調査を調べるとよい。

問22　「令和 5 年版労働経済の分析」（厚生労働省）で述べられた、賃金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

【令和5年版労働経済の分析】

名目労働生産性・名目賃金は、1970 年代～1990 年代前半までは、ほぼ一貫して増加していた。

名目労働生産性・名目賃金は、1990 年代後半以降、ほぼ横ばいで推移している。

OECD 諸国のスタートアップ企業の開業率と労働生産性・賃金上昇には負の相関がみられる。

賃上げは、企業にとっては、社員のやる気向上や離職率の低下等の効果があり、労働者にとっては、仕事の満足度を高める等の効果がある可能性がある。

問23　労働関係法令における労働者の概念に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

【労働基準法】【労働組合法第3条】【職業能力開発促進法第二条】

労働基準法における労働者には、採用選考過程中の者は含まれない。

労働組合法における労働者には、失業者は含まれる。

職業能力開発促進法における労働者には、求職者は含まれない。

労働契約法における労働者には、休職中の労働者も含まれる。

問24　出向・転籍に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

【出向の進め方：産業雇用安定センター】

在籍出向命令は、就業規則に根拠規定があり、かつ出向命令自体が権利の濫用に該当しない限り、労働者の個別同意がなくとも有効と解される。

在籍している企業を辞め、他の企業に移籍するいわゆる転籍命令においては、就業規則において転籍に関する条項があったとしても、労働者の個別的な同意が必要である。

出向している労働者を出向元企業に復帰させるには、当該労働者の同意が必要である。

出向している労働者の労働安全衛生法上の事業者責任は、出向先が負う。

問25　時間外労働・休日労働割増賃金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

【法定労働時間】【法定時間外労働】【割増賃⾦について】

法定休日に深夜時間帯を除き、10 時間勤務させた場合、2 時間分の時間外労働割増賃金を 8 時間分の休日労働割増賃金と合わせて支給する必要がある。

法定時間外労働が 60 時間を超えた場合、60 時間超の時間の割増率は 25％以上ではなく 50％以上である。

法定時間外労働が 60 時間を超えた場合、労使協定の締結によって、60 時間を超える部分のうち通常の時間外労働割増賃金を超える部分については、割増賃金を支払う代わりに休暇を与えると定めることができる。

割増賃金の算定基礎には、家族手当は含めなくてよい。

問26　労働条件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

【労働基準法第十五条】【就業規則の変更】【最低賃金法第四条】【最低賃金法第六条】

最初の出勤時に、それまで提示されていた労働条件と実際の労働条件が違っていた場合でも、労働者はそのことを理由にただちに契約を解除することはできない。

就業規則で定められた労働条件が不利益に変更される場合でも、事業主から従業員に対し変更内容が十分に周知されていれば、必ず従わなければならない。

最低賃金法で定められた金額よりも低い賃金で契約した場合、その契約は無効となり、最低賃金額と同額の約束をしたものとみなされる。

「地域別最低賃金」と、「特定最低賃金」が同時に適用される仕事では、低い方の最低賃金が適用される。

問27　学校教育における進路指導に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

【文部科学省：キャリア教育とは何か】

中学校には、進路指導主事を置くものとし、指導教諭又は教諭がこの任に当たる。

中学校においては、生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、計画的、組織的な進路指導を行う。

中学校の進路指導主事は、生徒の進学に関する進路指導を担当し、職業選択にかかる指導・助言や連絡調整には関わらない。

中学校においては、生徒が学校や学級での生活によりよく適応し、現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、ガイダンス機能の充実を図る。

問28　文部科学省が進めるキャリア教育に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

【キャリア教育推進のポイント】

学校においては、キャリア教育及び職業教育を推進するために、生徒の特性や進路、学校や地域の実態等を考慮し、地域や産業界等の協力の下、校内での活動に特化するものとする。

キャリア教育の充実を図るには、特別活動を要としつつ、各教科・科目等の特質に応じて実施する。

キャリア教育の定義は「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」である。

キャリア教育で育成を目指す基礎的・汎用的能力は「人間関係形成・社会形成能力」、「自己理解・自己管理能力」、「課題対応能力」、「キャリアプランニング能力」の 4 つである。

問29　「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」（文部科学省、厚生労働省、経済産業省、令和4年一部改正）で示された、インターンシップに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

【インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方】

インターンシップを始めとするキャリア形成支援に係る取組は、大学等での学修と社会での経験を結びつけることで、学修の深化や学習意欲の喚起、職業意識の醸成などにつながるものである。

インターンシップを始めとするキャリア形成支援に係る取組は、実質的に就職・採用活動そのものであることから、就職・採用活動時期に関わらず、産学共同による取組が求められる。

インターンシップを始めとするキャリア形成支援に係る取組は、その教育的効果や学生のインターンシップを始めとするキャリア形成支援における効果が十分に期待できる重要な取組である。

インターンシップを始めとするキャリア形成支援に係る取組は、学生を送り出す大学等、これを体験する学生、学生を受け入れる企業等それぞれの側において積極的に対応していくことが望まれる。

問30　「令和4年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況（令和5年版過労死等防止対策白書）」（厚生労働省）で述べられた、職場におけるメンタルヘルス対策等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

常用労働者 10 人以上を雇用する民営事業所を対象にした調査によると、令和 4 年度にメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は約 6 割である。

メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合を規模別にみると、最も少ないのは常勤雇用者 29 人以下の事業所である。

常用労働者 10 人以上を雇用する民営事業所におけるメンタルヘルス対策の取組内容で最も多いのは、「ストレスチェックの実施」である。

「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」と回答した労働者のうち、その内容を見ると「仕事の量」よりも「仕事の質」の回答の方が多い。

問31　労働安全衛生法に基づくストレスチェックの実施ならびに安全配慮義務の実施にかかる、事業者の対応例に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

【ストレスチェック制度簡単！導入マニュアル】

労働者数が 85 名である当事業所では、ストレスチェックの実施義務はないので、実施しなかった。

ストレスチェックの結果、高ストレス者として面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者から申出があったので、事業者として、当該労働者に対し医師による面接指導を実施した。

医師が実施した高ストレス者の面接結果に基づき、当該労働者にとって適切な措置となるよう就業場所・時間の変更を行った。

ストレスチェックの集団ごとの集計・分析結果に基づく職場環境の改善が推奨されているので、当事業所においても集計・分析結果の積極的な活用を進めた。

問32　多文化キャリアカウンセリングに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

クライエントの内にある「バイアス」を十分に意識させることが多文化キャリアカウンセリングの基礎となる。

カウンセラー自身の内にある「バイアス」を十分に意識することが多文化キャリアカウンセリングの基礎となる。

カウンセラー自身の内にある「バイアス」をできるだけ意識しないことが多文化キャリアカウンセリングの基礎となる。

クライエントの内にある「バイアス」をできるだけ意識させないことが多文化キャリアカウンセリングの基礎となる。

問33　「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」（厚生労働省、2010年）で述べられた、ひきこもりに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

【ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン】

ひきこもりは、DSM－IV で定義された病名であり、対人関係を含む社会との関係に困難が生じる症状を伴う疾病である。

ひきこもりとは、社会的参加を回避し、6 か月以上にわたって家庭にとどまり続けている状態である。

ひきこもりが生じる原因には「いじめ」、「家族関係の問題」、「病気」などが挙げられることがあるが、一つの原因でひきこもりが生じるわけではない。

ひきこもりの長期化により、社会経験を積む機会を失ってしまうため、その状態から復帰するには、再チャレンジを支援する仕組みと支援者が必要とされている。

問34　カウンセリング技法の一つである「開かれた質問」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

「○○について話してくれませんか」という問いかけは、開かれた質問とは言えない。

クライエントに自由な発言を促す質問である。

答え始めるまで時間を要することが多い。

相手に、質問の意図が明確に伝わるようにすることが必要である。

問35　マイクロカウンセリングにおける、カウンセラーの自己開示に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

カウンセラーがクライエントに対して自分の体験や感情を表明することをいう。

カウンセラーがその場の感情を表明することで、クライエントの気持ちが開かれる。

クライエントと対等な立場で一緒に問題を解決しようとする共感性の表明といえる。

恥ずかしいことや道徳的に疑問のある体験であっても、包み隠さずすべて開示するのがよい。

問36　ベーシック・エンカウンター・グループに関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

ロジャーズ（Rogers, C. R.）とその関係者によって 1960 年代から実践された集中的小グループ経験である。

個人の心理的成長、コミュニケーションおよび対人関係の改善を主な目的としている。

それぞれが、思ったり感じていることを率直に話し合い、次第に自己理解・他者理解・人間関係を深めていく。

1、2 名のファシリテーターによって計画された課題を 10 名前後の参加者が取り組む形式を標準とする。

問37　職務経歴書に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

職務経歴書では、自分の職務経験に基づく実務能力ではなく、学歴や免許・資格をアピールする。

職務経歴や資格などがなく、実務能力に自信がないという場合は、趣味や特技に特化して記載するのがよい。

職務経歴書の内容は、応募先企業の知りたいことや求めていることに応じて記載することが必要である。

職務経歴書は応募先企業によって様式が決まっており、見やすさよりも、ルールに則った記載が必要である。

問38　カウンセリング・プロセスに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

カウンセリングの目的は、傾聴を通して、クライエントとの間に温かい人間関係をつくることにある。

カウンセリングの終結時に、開始時に比べて問題解決に向かってとるべき行動が明らかとなり、行動に移す決心ができていることは、カウンセリング効果を評価する基準の一つとなる。

カウンセリングの目指す目標を、具体的、かつ明確に示すことができなければならない。

カウンセラーは、クライエントとの話し合いが進展し、内容が発展しているかどうか、絶えずそのプロセスをチェックできなければならない。

問39　信頼関係の構築に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

信頼関係はクライエントからキャリアコンサルタントへの信頼関係が重要で、キャリアコンサルタントからクライエントへの信頼関係は重要ではない。

キャリアコンサルティングの初期段階では、指示・指導的にならないよう留意し、信頼関係の構築を重視すべきである。

キャリアコンサルティングはビジネスとして行われるものであるため、信頼関係の構築を意識しなくても、クライエントの自己開示は進む。

キャリアコンサルタントは、クライエントの話を傾聴しながら、行動や姿勢に問題があると感じたときには即座に指摘することが信頼関係の構築に必要である。

問40　心理テストにおける信頼性に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

信頼性とは、そのテストにおける測定値の安定性もしくは一貫性を意味している。

信頼性とは、テストの難易度に関係している概念である。

信頼性は、尺度の項目数を少なくすることで高まる。

測定値のなかの誤差の含まれる割合が高いほど、そのテストの信頼性は高くなる。

問41　job tag（職業情報提供サイト（日本版 O-NET））の検索機能に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

【職業情報提供サイト（jobtag）】【ハローワークインターネットサービス】

「イメージ検索（地図）」で検索する場合は、オフィス街やショッピングモール・商店街などの絵地図からイメージで職業を検索することができる。

「仕事の性質で検索」から検索する場合は、重視する仕事の性質または避けたい仕事の性質を選ぶと、その性質の点数が高い職業または低い職業を検索することができる。

「免許・資格で検索」から検索する場合は、免許・資格名から職業を検索することができる。

「所在地や電車沿線で検索」から検索する場合は、住所情報や駅名から事業所を検索することができる。

問42　次の記述のうち、キャリアコンサルティングにおける「啓発的経験」として、最も不適切なものはどれか。

【キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目】

キャリア開発ワークショップ

インターンシップ

トライアル雇用

職場見学

問43　キャリアコンサルティングにおける意思決定の支援に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

意思決定支援では、職業だけでなく、どのような人生を送るのかという観点、家族との生活設計などの観点も考慮して、クライエントのライフプランの作成を支援する。

職業相談場面でクライエントが複数の求人票を見ながら抱える葛藤には、職業に関する意思決定プロセスをどのように展開したら良いかを認識できていないケースもある。

意思決定支援の段階では、個人が持つ自己概念や希望、期待、職業観等の「前提」と外界からの情報との間に生じた不協和（不一致）ではなく、調和（一致点）に着目する。

クライエントが失業や転職などのキャリア上の危機に遭遇しているときは、意思決定プロセスに焦点を当てた支援が有効と考えられる。

問44　キャリア・プランの作成支援に活用できるジョブ・カードのキャリア・プランシートおよびキャリア・プラン作成補助シートに関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

【マイジョブ・カード（様式）】

キャリア・プランシートでは、自分が大事にしたい価値観や興味、強み、将来取り組みたい仕事や働き方を整理し、これから取り組むことなどの目標を設定していく基本計画を記入できる。

キャリア・プランシートの「就業経験がない者および学卒者用」には、学校生活の様々な経験を棚卸しする項目がないため、キャリアコンサルタントが独自の様式を作成する必要がある。

キャリア・プラン作成補助シートは「学生用」、「在職者用」、「求職者用」の 3 種類があり、自分の個性や性格、大切にしたい価値観、自分の強みや弱みなどを振り返るためのワークから構成されている。

ジョブ・カードの職務経歴シートや職業能力証明シートなども必要に応じて活用することで、クライエントの能力や経歴の棚卸しを行うことができる。

問45　職場適応理論に基づく、新たな仕事への適応支援に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

人と職場の関係は静的・固定的な関係であり、新たな仕事への適応は個人の特性に合致した職業選択にかかっている。

職場適応を高めるためには、相談者が職場の要請に応えることを重視し支援するのがよい。

職場適応を高める際に考慮すべき 4 つの要因として、不適合を許容する「柔軟性」、環境へ働きかける「活動性」、自分の側の対処である「反応性」、調整行動を持続する「忍耐」がある。

職場適応は、人の職場に対する満足感と、職場環境のニーズが人を満たす充足度のいずれか一方を高めることによって効果的な支援ができる。

問46　相談過程の終結に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

目標を達成したことについて同意が得られたものの、終結の合意は得られなかった場合、面談で達成してきたことを中心に振り返って相談者に十分な達成感を味わってもらう。

目標を達成しない状態で相談者から終結の申し出があった場合、キャリアコンサルタントの判断で相談の続行を働きかける。

キャリアコンサルタントの都合によって、途中で相談を終結しなければならない場合、今後の対応よりも終結の事情を説明することに多くの時間をかける。

相談者の変化があまり見られないまま面談が長期化している場合、終結あるいはリファーについて相談者と話し合う。

問47　キャリアコンサルタントに必要なネットワークに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

メンタルヘルス不調、発達障害、仕事と治療の両立などの相談に適切に対応するためには、心理臨床や福祉領域などの専門機関・専門家とのネットワークを構築しておくことが求められる。

企業内キャリアコンサルタントに限っては、人事部門など組織内部の他部門とのネットワークがあれば十分なので、外部とのネットワークは特に必要とされない。

相談内容の高度化・複雑化に伴い、ファイナンシャルプランナー、弁護士など、これまでよりも多様な領域の他機関・専門家とのネットワークを構築しておく必要がある。

キャリア支援を効果的に実施するためには、異なる分野の専門家に意見・情報を求めるコンサルテーションも必要であり、日頃からそのためのネットワークを構築しておくことが望ましい。

問48　「キャリアコンサルタントの継続的な学びの促進等に関する報告書」（厚生労働省、令和2年4月）で示された、「キャリアコンサルタントの継続的な学び」についての課題に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

【キャリアコンサルタントの継続的な学びの促進等に関する報告書】

キャリアコンサルタントの支援内容は高次に対人的かつ専門的な業務であり、円滑な業務遂行には組織やクライエントから信頼を得ることが前提となっている。

対人支援に携わる者として、理論や深い知見に裏付けされた豊富な実務経験やスキルだけではなく、キャリア支援の専門職としての社会的責任感を持った振る舞いや相手を尊重する姿勢が重要である。

キャリアコンサルタントが習得した能力を十分に発揮できるようにするためには、実践経験は不可欠であり、その機会を確保できるような環境整備が必要である。

活動を始めたばかりのキャリアコンサルタントには、優先的にスーパービジョンの機会を提供することが求められるが、経験を積んだキャリアコンサルタントには必要ない。

問49　キャリアコンサルタントが行う自己研鑽に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

面談記録には、相談者の語りを通してキャリアコンサルタントとして把握した事実、推測、解釈をそれぞれ分けて記述するのがよい。

事例検討会に用いる事例報告書の作成にあたっては、キャリアコンサルタントの関心事を中心に、相談者が述べたことを厳選するのがよい。

逐語記録は、一般的に相談者やキャリアコンサルタントの発言を一言一句正確に書くことが要求され、「うん」、「あー」など一見無意味のような音、沈黙や非言語で示された動作なども相談者の心の表れとして記述する。

自己のスキルを高めることに関心を持ち、自分が担当した事例についてスーパービジョンを受けることで、キャリアコンサルタントとしての成長が期待される。

問50　キャリアコンサルタントとしての姿勢に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

面談を通して把握した問題点から具体的に目標を提示したが、クライエントがそれを避けたがる様子なので、しっかり内省するように指導した。

クライエントがこの面談にどんな効果や進展を期待しているのかを確認したかったが、クライエントが勢いよく話していたので、話の腰を折らないよう聴き続けてそのまま面談を終えた。

クライエントと方策について話し合っている時、自分のスーパーバイザーに意見を聞くのがクライエントの役に立つと思ったので、面談の流れの中でその趣旨を説明して了解を取った。

自己理解が不足しているクライエントにアセスメントを提案した際に、時間が押していたのでツールの特徴や使う理由が説明できなかったが、クライエントが受け入れてくれたのでそのまま進めた。