キャリアコンサルタント試験の受験生にとって、逐語録の作成やロールプレイングは重要な対策の一つです。特に、傾聴技法を活用した適切な伝え返しや共感の技術は、相談者との信頼関係を築くために欠かせません。この記事では、キャリアコンサルタント試験の逐語録例を紹介しつつ、実際に使える合いの手や傾聴技法について解説します。試験対策の実践として、ぜひご活用ください。
キャリアコンサルタント試験対策に役立つ逐語録事例と解説
33歳男性、妻は専業主婦、子供2人(3歳と1歳)のケース
相談者プロフィール
- 相談者 (CL):33歳男性、既婚、妻は専業主婦、子供2人(3歳と1歳)
- 相談内容:仕事と家庭の両立がうまくできない
CC:本日はどのようなお悩みについてお話しいただけますか?
CL:今、仕事と家庭のバランスがうまく取れなくて悩んでいます。仕事が忙しくて、家族との時間が取れないんです。
CC:「仕事の忙しさで家族との時間が減っている」、この点について具体的にお聞きしてもよろしいですか?
CL:はい、今の職場はプロジェクトが多くて、定時で帰れる日が少ないんです。子供が小さいので一緒に過ごしたいんですけど、仕事があるとどうしても…。
CC:お子さんとの時間を大切にしたいと思う気持ちがある、けれど現状では仕事優先になってしまう、ということですね。
CL:そうなんです。家にいる妻も育児で大変なので、できるだけ負担をかけたくないんですが、帰っても子供を寝かしつけるぐらいしかできなくて…。申し訳ない気持ちになります。
CC:奥さまやお子さんに対する責任感や、申し訳ないという気持ちがある、ということですね。
CL:はい、自分の時間の使い方が悪いのかなと思いますが、どうしても仕事が優先されてしまいます。
CC:責任感が強いからこそ、仕事を優先してしまう場面が多い、とお感じなのですね。
CL:そうですね…。できればもっと早く帰れるようにしたいんですが、今の職場でそれが可能なのか、転職も視野に入れたほうがいいのかと悩んでいます。
CC:ご家庭とのバランスを取りやすくするために、転職も視野に入れているのですね。少しでも早く帰れるように工夫したい、という希望があるのですね。
CL:はい。ただ、上司に相談して負担を減らしてもらう方法もあるかもしれないと思っているんですが、上司がどう思うか心配です。
CC:上司に相談することで負担が減る可能性を考えていますが、不安もある、ということですね。上司に相談することに対して、具体的にはどのような不安を感じていますか?
CL:上司に「家庭のために早く帰りたい」と言うのは、仕事に対するやる気がないと思われるのではないかと…。周りの目も気になります。
CC:上司や周囲の評価が気になっているのですね。家庭のために仕事の時間を調整することが、職場での印象にどう影響するかを不安に思われていると。
CL:はい。自分なりに一生懸命やっているつもりですが、そう思われたくなくて、結局言い出せないんです。
CC:周囲に誤解されないようにと考えるあまり、自分の希望を伝えづらい状況なんですね。
CL:そうなんです。でも、実際のところ、妻も負担が大きくて疲れているので、今のままでは家庭に支障が出るのではないかと不安です。
CC:家庭の負担やご家族への影響も心配されているんですね。もし今後もこの状況が続くとしたら、ご家族にどのような影響があると思いますか?
CL:妻が心身ともに疲れてしまうかもしれないと思います。育児は体力も使いますし、イライラしてしまうこともあるようです。
CC:育児による妻の負担が増えることを心配されているのですね。現時点で、奥さまが育児の面で負担に感じていることは、何かお聞きされていますか?
CL:子供が小さいので、自分が手伝わないと一人で対応するのは大変だと思います。でも、今はほとんど任せきりになってしまって…。
CC:奥さまが一人で育児を担うことの負担が大きいと感じているのですね。その負担を減らすために、どのようなサポートが考えられますか?
CL:自分がもっと育児に関われればいいんですけど…。一時的にでも、保育のサポートを頼むことも考えたほうがいいのかもしれません。
CC:保育のサポートを検討することで、負担が軽減される可能性もあるとお考えなのですね。一時的なサポートを活用することに対して、どのようなお気持ちをお持ちですか?
CL:ちょっと抵抗はありますね。やっぱり自分がもっと手伝えれば…という気持ちがあるので。
CC:できればご自身でサポートしたいというお気持ちが強いのですね。無理なくサポートできる方法を考えてみることも一つかもしれませんね。
CL:そうですね。でも、やはり仕事が忙しい限り、時間を取るのが難しいですし…。
CC:現在の仕事が多忙で、時間的な制約が大きいと感じているのですね。少し視点を変えて、今の職場環境で少しでも家庭に時間を割ける方法がないか、一緒に探ってみるのはいかがでしょうか?
CL:それも考えていますが、職場の人間関係も影響するので…。特に同僚も忙しいので、自分だけ負担を軽くするのは気が引けます。
CC:同僚の方の忙しさも配慮し、周囲に負担をかけたくないと考えているのですね。そのように考えつつも、ご自身が家庭を大事にするためにできることは何か、一緒に探りたいというお気持ちもあるのですね。
CL:はい。やはり家庭を優先したい気持ちもあるので、そのバランスを見つけたいです。
CC:ご家庭を優先しつつも、周りへの配慮も忘れない姿勢が伝わってきます。無理なくバランスを取るための解決策を一緒に考えることができればと思います。
CL:ありがとうございます。自分でもどうしていいかわからない状態だったので、少し整理できた気がします。
CC:少し整理が進んだようで何よりです。ここまでの話から、転職を含めた選択肢を改めて整理することができそうです。まず、現職での工夫やサポートについて少し深掘りしてみるのはいかがでしょうか?
CL:はい、現職でできることがあるなら、まずそれを試したいと思います。
CC:それでは、具体的にどのようなことができそうか一緒に検討してみましょう。
逐語録事例の解説
CC(キャリアコンサルタント):本日はどのようなお悩みについてお話しいただけますか?
CL(クライアント):今、仕事と家庭のバランスがうまく取れなくて悩んでいます。仕事が忙しくて、家族との時間が取れないんです。
CC:「仕事の忙しさで家族との時間が減っている」、この点について具体的にお聞きしてもよろしいですか?
解説:ここではクライアントの言葉を繰り返すことで、オウム返しによる確認を行い、安心感を与えています。こうした伝え返しは傾聴の基本であり、信頼関係の構築に役立ちます。
CL:はい、今の職場はプロジェクトが多くて、定時で帰れる日が少ないんです。子供が小さいので一緒に過ごしたいんですけど、仕事があるとどうしても…。
CC:お子さんとの時間を大切にしたいと思う気持ちがある、けれど現状では仕事優先になってしまう、ということですね。
解説:クライアントが持つ「お子さんとの時間を大切にしたい」という気持ちを再構成して伝え返し、共感を示しています。これはクライアントの内面に寄り添う有効な手法です。
CL:そうなんです。家にいる妻も育児で大変なので、できるだけ負担をかけたくないんですが、帰っても子供を寝かしつけるぐらいしかできなくて…。申し訳ない気持ちになります。
CC:奥さまやお子さんに対する責任感や、申し訳ないという気持ちがある、ということですね。
解説:ここでは感情への共感を重視して返答しています。クライアントが抱える「責任感」や「申し訳なさ」をくみ取り、心情に寄り添うことで深い安心感を与える効果があります。
CL:はい、自分の時間の使い方が悪いのかなと思いますが、どうしても仕事が優先されてしまいます。
CC:責任感が強いからこそ、仕事を優先してしまう場面が多い、とお感じなのですね。
解説:クライアントが自己評価を下げないように、ポジティブな側面に焦点を当てた伝え返しを行っています。これはクライアントの自己肯定感を高め、安心して話しやすい環境を作るために重要なポイントです。
CL:そうですね…。できればもっと早く帰れるようにしたいんですが、今の職場でそれが可能なのか、転職も視野に入れたほうがいいのかと悩んでいます。
CC:ご家庭とのバランスを取りやすくするために、転職も視野に入れているのですね。少しでも早く帰れるように工夫したい、という希望があるのですね。
解説:クライアントが思い描く「希望」に焦点を当て、ポジティブな未来への言及をしています。希望に焦点を当てることで、より前向きな気持ちを引き出す効果があります。
逐語録のポイント
- 傾聴技法(オウム返し、伝え返し、感情の反映)
クライアントの言葉や感情を正確に捉え、適切な伝え返しを行うことで、理解されているという安心感を与えます。 - 共感の表現
相談者が抱える「責任感」や「申し訳ない気持ち」に共感し、心理的なサポートを行うことが大切です。 - クライアントの希望にフォーカス
現状の問題だけでなく、クライアントが望む未来にも言及し、より建設的な対話へと導きます。
傾聴技法の実践で効果的な逐語録作成を
キャリアコンサルタント試験において、逐語録は面談スキルを示すための重要な要素です。伝え返しや共感の技術を効果的に使い、クライアントの不安を受け止めるとともに、自分らしい言葉で表現していくことが求められます。この逐語録の事例が、皆さまの試験対策に少しでも役立つことを願っています。
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